著者: 小川一水
イラストレータ: こいでたく
地方局勤務から郵政省本省へ栄転となった八橋鳳一は、期待を胸に郵政省の建物に入るが、取り立ててくれた上司の名前を告げても、受付はナシのツブテ。途方に暮れていたところに、出会った先輩上司はパワフルな女性で、鳳一をそのまま“現場”へ連れていく。そこでは重機を使った“配達業務”が進行していた。
民間業者との競争に打ち勝つために、郵政省が投入した切り札――特別配達課、通称
のっけから400,000円切手とかデタラメな配達で始まるこのシリーズですが、この作品がソノラマ文庫版で出た頃、丁度郵便業務が民間宅配業者との激しい競争を行っていた頃で、更には公社化、後の民営化へと繋がる変革の第一歩がスタートしていた頃でした。
本当に、こんなサービスを行っていれば、今の郵政のあり方も違ったものになっていたのではないか……そんなことを思わせる一作でした。
それまでファンタジーが多かった小川一水が手掛けた「現代社会もの」で、後の第六大陸などへ繋がる変化の走りでもある作品です。